渓谷に入る前は砂漠にまばらに草の生えたアメリカ中部にありがちな風景なのですが、渓谷に降りて行くと砂の壁が迫る細い迷路のようで、自然が作ったというよりどこかの遺跡にいるような気分になります。日本でこんな景色が見られるところはないでしょう。どこを撮ってもジャケ写みたいな写真が撮れるので、風景写真やポートレートを撮るのが好きな人には特にオススメです。
砂っぽくカメラに砂が入り込んでしまうため、ジップロックを持って行った方がいいと書いてあったのでそうしたのですが、ジップロックなしでも特に問題なかったです。風の強い日は気をつけた方がいいのかもしれません。
アンテロープキャニオンはネイティブアメリカンのナバホ族が自治権を持つ(というかNavajo Nationという独立国家らしいです)保護区内にあり、勝手に保護区内に入ることもできないので、ツアーを利用する必要があります。日本の代理店が取り扱っているような(ラスベガス発着などの)ツアーに参加せず、現地までレンタカーなどで行く場合でも現地ではツアーに参加することになります。
保護区内に入るためには入場料($6/人)をツアー料金とは別に支払います。アッパーとロウアー両方行く場合は、(後から参加するツアーで)領収書を見せると2回払う必要はありません。ただし1日のみ有効なので、別の日に行く場合はそれぞれ支払わないといけません。
ナバホネイションのホームページに、現地で営業しているツアーのリストが載っています。どんなツアーを利用しても、最終的にはここに載っているツアーのどれかに参加することになるのだと思います。このツアーはもれなくナバホ族によって運営されており、モニュメントバレーなどこの辺りの景勝地も含めて、ナバホ族の重要な収入源になっているようです。
ナバホ族はネイティブアメリカンなので、見た目はモンゴロイドっぽいです。ロウアーキャニオンのツアーの集合場所に現れた時は赤色の大きないかにもアメ車なバンにギャングっぽいヒップホップな服装の若者たちだったので正直ひえ〜と思ったのですが、実際にガイドをしてもらうととても親切で、写真を撮るよう頼んでも、快く引き受けてくれました。一方で、壁に登るなど、自然を壊す恐れのあるような行為には毅然とダメ出しをしていて、適当にツアーガイドをしているのではなく、ちゃんと責任をもって仕事をしていることが感じられて好印象でした。
日本人のジャーナリストがナバホ族のドキュメンタリーを撮りに来たことがあるらしく、日本人にいい印象を持っているようでもありました。その人GJ。たまたま同じツアーに日本人の整体師さんがいて、その人もツアー終了後整体をしてあげていたので、きっとますます日本人への印象はよくなったはずです。
アンテロープキャニオンはアッパーとロウアーの二か所あります。
アッパーキャニオンは渓谷の規模としては小さいですが、メジャーでラスベガス発着のツアーもあります。現地集合のツアーでもたいていはページの町中で集合し、そこからツアーバスで連れて行ってもらえます。
ロウアーより閉じているため、暗い洞窟に一筋の光(ビーム)が差し込んでいる幻想的な風景を見ることができます。うまく撮れば燃えるように赤い壁の写真を撮ることができます。下手でもそこそこの写真が撮れます。
ただし、時間帯にもよると思いますが、ビームが見えるピークの時間帯はかなり混み合うので自分のペースで見学することはできません。
ロウアーキャニオンは規模はかなり大きいのですが、マイナーでラスベガス発着のツアーはないようです。観光客が少ないですし広いので、思う存分写真を撮ったりして楽しむことができます。
上部が開けているため、アッパーより明るめのオレンジ色の写真が撮れます。下手だとただの土の写真になってしまいます。
アッパー、ロウアーそれぞれの良さがあるので、両方参加できるなら両方行っても十分楽しめます。ただし、アッパーではビームを見たほうがいいです。ビームのないアッパーであれば、ロウアーだけで十分です。まずロウアーへ行って波打つ砂の壁を楽しんだ後、アッパーへ行ってビームを見るのがベストなんじゃないでしょうか。
何を重視するかにもよりますが、どちらかしか行けないなら、ロウアーのほうがオススメです。人が少なく広いので、心置きなく景色を楽しむことができます。
アッパーに行くとしたら、混み合っていることは覚悟の上で、ビームの見える時間(11時~正午頃)に行ったほうが良いと思います。アッパーだけしか行かない場合はビームがなくても楽しめるのではないかと思います。
ロウアーアンテロープキャニオン
私たちはKen's Guided Tourを利用しました。$20(+$6入場料)/人でした。もう一つのAdventurous Antelope Canyon PhotoToursも評価は良かったですが、本格的に写真を撮りたい人のためのツアーという側面のほうが強いみたいです。事前にメールはしていたのですが、予約は不要で、当日現地集合です。道はそれほど複雑ではありませんが、砂漠に出るとほとんど目印がないので、カーナビよりも、iPadでgoogle mapsを細かく見て道の名前を確認しながら行きました。目的地が分かってしまえばそれほど難しいところにあるわけではないのですが、ちょっと分かりにくいです。
朝一番で集合場所である入り口に着くと、門が閉まっていて、その前に3台ほどの車がいました。この門の先はKenさんの所有地になるようです。先に来ていた人に聞くと「自分もツアーに参加しに来たが、どうしたらいいのかはよく分からない」と言われ、後から来た人もとりあえず道の端に車を止めて先頭まで「ここで待ってたらいいの?」と確認しに来る、という感じで、みんな「他の人もいるから大丈夫だろ」と信じて待っている状態でした。
そこへツアーの人が現れましたが、何も言わずに門を開けてさらに先に入っていくので、車で続いて入っていきました。少し入ったところに、ツアーデスクと駐車場があります。
このツアーデスクで受付した順にツアーに参加できるので、駐車場に車を停めたらすぐに受付の列にならんだほうがいいです。私たちは車では一番前にいましたが、受付のシステムを知らなかったので少し出遅れました。ただ、特に夏の間は15分ごとに出発しているので、1グループ遅れたくらいではそれほど時間のロスはないです。
ちなみに、アリゾナ州はサマータイムを採用していませんが、ナバホ保護区はサマータイムを採用しているため、ページと保護区内では夏の間1時間の時差があります。私たちはナバホ時間で朝一番に行ったのですが、門の前で1時間くらい待っていたので、ツアーに書かれている時間はページ時間か、もしくはツアーガイドがものすごく遅刻してきたかのどちらかだと思います。。
受付でお金を払った人から15人くらいずつ、15分ごとに出発します。それぞれのグループに一人、ナバホ族のツアーガイドがついてくれます。みんな見た目はギャングっぽくてややとっつきにくい感じがしますが、とても親切でした。説明するだけでなく、きれいな写真の撮り方も教えてくれます。
はぐれないように、とは言われるのですが、写真を撮ったりして遅れても急かされるようなことはなく、自分のペースで満喫できました。入ってから出るまで、2時間近くかかりました。
アッパーアンテロープキャニオン
私たちはAntelope Canyon Toursを利用しました。特にこのツアー会社に決めた理由はありません。こちらは予約が必要で、ページのショッピングセンター内に事務所があり、そこに集合します。このときお金を払います。クレジットカードも使えました。ビームが見える時間を選んだので、他の時間帯より$10ほど高かったです。ロウアーで入場料を支払ったレシートを見せると入場料は不要です。
そこからはツアーバスに乗ってアッパーキャニオンへ向かいます。アッパーキャニオンはエジプトの王家の谷とよく似ていました。野生の牛がいました。ロウアーは地下に入って行く感じですが、アッパーはそびえ立つ壁の隙間に入って行く感じです。
現地に着くと他のツアー会社の人たちともごっちゃになって、ほとんど同じオペレーションがされていて、ツアー会社による差はほとんどなさそうでした。
ここではガイドさんから決して離れないようにときつく言われ、自由行動は許されません。フォトポイントでは地面に線を引かれ、ここからは前に出ないように!と言われます(カメラに映り込まないため)し、カメラを持っていない人は一列目には行けません。ただ、これほど厳しかったのは、$10高いツアーに参加している人全員にビームを見せるためなのかな?と思います。立ち止まって撮影していると怒られるのでどんどん進みましたが、ロウアーと同じような感じでやっていたら、ビームが見られる時間帯が限られているため、他のグループの人も含めあの場にいた全員がビームを見ることは無理だったと思います。
なのでビームが見られるエリアを過ぎたらガイドさんがやや優しくなりました。苦笑 態度は厳しかったですが、カメラを持っている人全員にいい写真を撮らせることを最優先しているという感じではありました。ビームをはっきり見せるために砂を巻き上げたりしてくれます。ただし、光にムラが出るので砂があるほうがいいのか悪いのか微妙なラインです。ここでもきれいな写真の撮り方を教えてくれました。カメラを渡して撮ってもらうとすごくきれいに写るんですが、まねしてやってみてもなんか違うんですよね。。
ロウアーは一方通行で入り口と出口が別ですが、アッパーは奥まで行くと同じところを戻ります。一番奥でガイドさんがグループごとに写真を撮ってくれました。行きはグループ行動ですが、帰りは「20分で入り口まで戻るように」と言われて自由行動になります。
行きはかなり混み合っていて、ガイドさんの管理下で行われる撮影以外では必ず人が映り込んでしまいましたが、帰りは比較的空いていました。帰りにはもうビームが見えなくなっていたので、やはりみんなビームが見える時間を狙ってツアーに参加しているのかもしれません。
入り口まで戻ってきたら、またツアーバスに乗って、事務所で解散です。事務所を出てから戻るまでで1時間くらいでしょうか。ロウアーに比べるとあっという間に終わってしまいました。
ラスベガスからはかなり遠いですが、行って良かったー!