2011年2月20日日曜日

パリの治安とスリ

身の危険を感じる、という意味では、滞在中ほとんど危険は感じませんでした。

1度雰囲気が怖いな、と思ったのは、フォーロムデアールです。レアールにあるショッピングセンターで、まだ7時頃でしたが、クリスマス時期で人が少ないことも関係していたのか、たむろしている若者たちが怖かったです。後から聞くと一緒に行った友人も同じように感じていたらしいので、まったく気のせいということもないと思います。しかし、余計なことをしなければ、そこに居合わせただけで何かされるということはないでしょう。

タクシーに乗ったのは着いた当日だけで、朝から晩(夜9時くらい)までずっと地下鉄とPERで移動していましたが、その中でも怖いなと思ったのはフォーロムデアールのあった駅だけで(それもフォーロムデアールを通った後で過剰に警戒していただけかもしれません)、身の危険を感じたことはありませんでした。

一方、スリには注意が必要です。実際、スリに遭いました。スリに遭ったのは私ではなく一緒に行った友人です。

友人の被害をブログで公開するのは気が引けますが、なるべく被害を受ける人が少なくなればいい、またもし万が一被害に遭ったときの参考になればいいなと思います。

コンコルド広場で信号待ちをしていると、UNICEFか何かの署名を求めてくる少女たちがいました。UNICEFという文字が見えると、もし善意で署名を求めているのだったら申し訳ないな、という気持ちもありましたが、余計なことには関わらない方がいいので、無視していました。

が、気がつけば友人は署名していました。あ〜署名してるな〜と思って他人のふりをして私は関わらないようにしていたのですが、さらに気がつけば友人が10EURを出していたのです。おそらく寄付を求められて10EURを出したのだと思いますが、「もっとちょうだい!」と詰め寄られていました。

そのときには友人も私も少女たちのただならぬ雰囲気に気づいていて、信号が青になると同時に「行こう」と言って振り切ろうとしたのですが、「分かった10EURでいいからちょうだいよ!」と言って彼女たちはついてきます。

それでもこのときはまだ私には財布をすられるという危機感はありませんでした。私は友人とは離れて歩いていて、友人は5人ほどの少女に囲まれ、大声で迫られていて、このままどこまでもついてきたらどうしよう、と不安を感じながら足早に歩いていると、隣を歩いていたおばさんがフランス語で何か言ってきました。フランス語は分からないと英語で伝えると、「YOU SHOULD CALL THE POLICE」と言われました。このときは少女たちがあまりにまとわりつくので警察を呼べと言われてるのかなと思い、友人にかけよると、ちょうど広場から出る辺りで少女たちは離れて行きました。

ああ良かった、と思って次の目的地へ向かっていたのですが、5分ほど歩いたところで友人が財布がないことに気づきました。

ここで私は初めて少女のスリ集団があるという話を思い出しました。そういえば周りを取り囲んで叩いたりしながら注意をそらしてすっていくと書いてあった。おばさんが警察を呼べと言ったのは、状況に対応してもらうためではなく、友達が財布をすられたよ、と教えてくれていたのです。何度も何度もスリの話は読んでいたのに、実際の場面ではすぐに結びつかなかったのです。そもそもずっと見ていたのに全然気が付きませんでした。自分にがっかり。。何で気づいてあげられなかったんだろう。

慌ててコンコルド広場へ戻ったのですが、財布は見つかりませんでした。もちろん彼女らが取ったとは断言できませんが、おそらくすられたのだと思います。

彼女らは相変わらずコンコルド広場で署名を求めています。「お金はあげるから、カードや免許証は返してほしい」と言いたかったですが、彼女らが取ったと決まっているならまだしも、さすがに言い出せませんでした。

ショックですが、このまま放置することもできません。とにかく警察へ行こう、ということになり、警察に向かいました。

私がフランス語で警察を何と言うのか分からないように、フランス人もPOLICEという単語が分からないようで(YOU SHOULD CALL THE POLICEと言ってくれたおばさんは特別だったんですね)、見つけるのには一苦労しましたが、中心地だからか幸い近くに警察署がありました。

すられたことと、電車に乗ることは関係ないですが、治安に不安を感じている状態で(スリが多いとも言われる)電車に乗る気にはとてもなれなかったので、歩いていける範囲にあり助かりました。

警察に着くと、まず記名して自分の番が来るのを待ちます。周囲はほとんどフランス語なので正確には何が起こっているのか分かりませんが、意外にもフランス人がたくさん被害を訴えて待っていました。

待っている間に、クレジットカード会社に電話をかけてカードを停止してもらいました。

ここで困ったのが、カード会社の番号です。ガイドブックに載っていたのが三井住友VISAカードの番号だけだったので、まず番号から調べる必要があり、手間取りました。これはカードを作ったときに一度調べればいいだけなので、調べておいて損はないです。また、カード番号もカードが手元にないと分からなくなってしまうので、行きの飛行機の中でガイドブックにでもメモしておいた方がいいです。

カード会社はコレクトコールの番号を用意しているらしいのですが、携帯からは使えずわざわざ公衆電話を探しに行ったのに、公衆電話でも使えませんでした。また、友人はイギリスの携帯電話だったので、日本のカード会社の番号にはつながらないと言っていました。日本の携帯電話からは問題なくつながりました。色々制約はあるようですが、待ち時間に携帯電話からすぐカード会社に電話できるとは便利な世の中です。

キャッシュカードも入っていましたが、これはすでに一日の限度額いっぱい引き出していたので、ホテルに戻ってからインターネットで停止の手続きを行いました。

暇そうな警官はたくさんいたのですが、聴取をする警官は一人しかいないようで、かなり待った後、個室に呼ばれ聴取されました。英語が少し話せる警官が聴取してくれました。ただ、あくまでも被害届を出すだけで捕まえるとかそういう話ではないです。

財布の中に免許証が入っていたので、「免許証を盗まれた」という証明書を発行してくれました。これはのちのちレンタカーする時に、役に立ちました。国際免許証だけでなく、日本の免許証の提示を求められましたが、今回の旅行で盗まれたんだと証明書を出すと、しぶしぶ貸してくれました。上司か誰かに確認の電話をしていたので、不運だと借りられないかもしれません。

この日はテンションだだ下がりで、警察から出たら雨が降り出していたこともあり、時間は早かったですがこのままホテルに戻りました。被害届を出して少し落ち着き、ある程度時間も経ったので多少立ち直ってはいましたが、とてもこの後どこかへ行く気分にはなれませんでした。

お金がないのもさることながら、クレジットカードやキャッシュカード、免許証の再発行など何かとめんどくさいです。それ以上にテンションもだだ下がりで、当然ながらすられていいことは一つもありません。

ただ、無差別にすられて、防げないのかというと、私はそうではないと思います。

以前別の旅行に行ったとき、旅行はよく行くが個人旅行は初めてという友人と一緒に行ったのですが、彼女はリュックで来ました。私はリュックは危険という認識があったものの、危険と言われているのでリュックで旅行したことはなく、実際にどれくらい危険なのかは分からなかったのですが、2週間ほどの旅行で明らかに彼女だけが何度もスリに狙われていました。

今回も、友人は(リュックではなかったですが)鞄を背中に回していて初めから無防備だなあ、と思っていました。危険じゃない?と言いたかったけれども、絶対すられると決まったわけではないので口うるさいような気がして言い出しにくく、結局最後まで言えませんでした。。

怪しげな少女に求められる署名を断ることもできましたし、往来で財布や現金を見せたのも軽率だったと思います。それにすられた時は、「財布を腕に挟んだような気がするがよく分からない」と言っていて、あまり注意していなかったようです。

つまり、隙を見せている人が狙われるということです。逆に言うと、気をつけてさえいれば被害に遭うことは(ほとんど)ないと思います。少なくとも気をつけていない人より被害に遭う確率は確実に低いと思います。

全財産を一カ所にまとめない、財布は見せない、鞄は体の前でぎゅっと抱きしめておく、電車では入り口付近に立たず席が空いていれば座る。

何事もなく旅行を終えられたとしたら、それはその国が安全だったからではなく、自分が十分に注意して、スリに付け入る隙を与えなかったからです。その他の危険も同じです。危険な場所には近寄らない、危険だと感じたらさっさと立ち去る。

観光客、特に日本人は大金を持ち歩いていそうだという理由で狙われるということもあると思いますが、日本が安全なだけに、外国でも危険に対してつい無頓着になりやすいということもあると思います。外国人観光客をよく見ていると、財布はすぐにしまうなど、彼らは気を付けるポイントはちゃんとおさえています。日本人だから狙われやすいということはありません。隙を見せている人が狙われているのです。

「気を付ける」それだけで楽しい思い出だけで帰って来られるのですから、ぜひとも気をつけましょう。

※もちろん中には気を付けていたけれども不可抗力で犯罪に巻き込まれる/た方もいると思います。あくまでも、注意を促して、今後少しでも犯罪に遭う人を少なくしたいという気持ちで書いています。

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